2017/11/14
ツールド沖縄市民210kmレース編
07時27分肌寒い中レーススタート。レース開始直後から筧さん含めた8名程が逃げる。先は長いので静観。
序盤は集団内の位置取りだけを意識して落車リスクを極小にするように走る。高岡さんはじめ有力選手は終始安定したポジション。
40km時点くらいで後ろから落車の音が聞こえてきて、残念のことにチームメンバーや友人も何名か巻き込まれてしまう。有力選手は前のほうに居たので、ダメージはなさそうかと思ったけどあとから聞いたら大小被害があった様子。
70km地点の登り口まではとにかく温存して固形の補給食をこまめに食べて後半に向けての準備。
ここまでは平均パワー175w、平均心拍121、平均ケイデンス95というサイクリング。
一度目の普久川の登りは、足の状態を確かめながらとにかく楽に登る。18分30秒268w。
気温は沖縄にしては低めだけど、汗がじわじわ滲み出て一本目のボトルを補給所で受け取る。
北側も大きな動きはなくまったりペースで進み、二回目の普久川ダムへ。高岡さんが入口であげる動きを見せ、岩島さんが抜け出す動きがあったものの一回目と大して変わらないペースで不気味なくらいに落ち着いたペースで通過。18分30秒262w。
大集団のままで補給ポイントを通過し、最大の勝負ポイントとなる学校坂からのアップダウン区間に突入。補給所からの下りで井上さんが前に上がっていくのを確認し雑賀さんが危険を察して前にいくのを見て私も前へ。雑賀さんのこの辺のレース勘はさすが。
ここから70km。レースがいよいよ始まる。
井上さんが坂の入口からペースアップ。
森本さん、高岡さんも前に。ここは最前列で走らないとやられる勝負ポイント。パワー的には5分338wくらい。力をややセーブ気味にアタックに警戒しながら登る感じで昨年のような強烈なきつさはなく、ピークで後ろを振り返ると40人くらいはいるのか。
多い。今年は沖縄特有の暑さもなく、ここまでのペースもハイペースではなかったため体力的な消耗は少なかったのだろう。
登り終えて、アップダウン区間に入ると高岡さんが絞り込みにかかりアタックをかけ始める。昨年はここで行かれてしまったので必死に封じる。清宮さんや青木さん森本さんあたりもここは耐えどころとわかっているので一緒に耐える感じ。この動きを最大限に活用し集団のスリム化を進めていきたい。
160km地点くらいで井上さんと「今年はなかなか人数が減りませんな」と話していると、まだまだ先は長いですからとニヤリ。これからドンドン振り落としをかけていくつもりのようだ。恐ろしや。
ここから高岡さんと井上さんの攻撃が連続して繰り返される。この二人のフィジカル面の力は突出している。
ここは単独で行かれないように、無理をして自爆しないようにポジション取りや周囲のメンバーの思惑を考えながらギリギリの攻防。高岡さんと小畑さんが下りで抜けていき50mくらい開いたタイミングあったが井上さんがつぶしに行ったりとなかなかの激しい打ち合い。
そうこうしていると、細かいアタックのジャブが効いてきてこちらもどんどん足が削られていく。溜まらず千切れるヒトも増えてきて集団も20名くらいまで減ったか。
慶佐次の補給所の登りで補給を取るのに一瞬下がったときに高岡さん、井上さんともう一名がペースをあげてやや先行し差が開く。5mの距離が命取りになるシチュエーションなのでまずい。このメンツで行かせてはならん。ここは何があろうと食らいつくしかなく、ここでかなり足が削られる。私の後ろにいたメンバーもかなりきつそう。
下って以前の200kmコース源河の登りの分岐で2009年を思い出す。そのときは森本さん、高岡さん、清宮さん、武井さんと私の5人。あれから8年経ってもまた同じメンバーでやり合っているのがおもしろく、あのときの高岡さんの驚異的な登りの強さの前に武井さんと二人で失神しそうになりながら必死に追走した記憶がよみがえる。
ここからは精神力の勝負。
あと登りは3つほどだが、私の足も悲鳴をあげ始めている。大腿四頭筋がダンシングをすると痙攣する。
無理をすると足が完全に逝ってしまうのでダンシングはここから封印。
登りの都度、森本さん、井上さん、高岡さんが振り落としに来ている。

痙攣して一触即発で爆発しそうな足を抑え込み、極限ラインで耐える。
羽地ダムへのアプローチ時点では、覚えている範囲で、高岡さん、井上さん、森本さん、清宮さん、青木さん、田崎さん、河合さん、龍太郎さん、佐藤さん、松島さん、利田さんだったか。この中で松島さんと利田さんの力が未知数。松島さんはジャパンカップの時になるしまに見慣れない強い人がいるなーと思っていたので、相当力はありそう。利田さんは頑張ってますねと声をかけたら自ら奇跡的に生き残っていますと笑顔で笑いながら、完全に牽制が入ってペースダウンした先頭集団から男のロマンを求めて飛び出していって最大15秒差くらいまで広げる走りを見せていただいた。河合さんの様子を尋ねると前半の落車で肋骨と膝がやられたっぽいと。その状態でも走る精神力に脱帽。
最高のメンバーで、最後の勝負どころ羽地ダムへ。
前日の試走で300w程度で走ったら5分と測っていたので、ここからの5分で今年一年最大の我慢をすると腹を括る。
登り出してまもなく左足のハムストリングが強烈に痙攣。続いて右足のふくろはぎが悲鳴。もう痛いとかいう次元を越える。歯を食いしばり、足が痙攣で完全ストップしないように痛みを無視して回す。ダンシングは使えないのでシッティングでまだ生きている筋肉で回すしかない。
青木さんや、龍太郎さんらの気配が消え、松島さんが苦しみながらも耐えている。トンネルが見えてきて、あと少しと思っていると森本さんがペースを上げ始める。さすが山の神、まだ足残っているか、、、勘弁してくれ。。。と思いながら究極の我慢。トンネル超えたらチームのメンバーが応援に立ってくれると言っていたのでそこまでは死んでも粘らねばと言い聞かせ攻撃をしのぐ。

トンネルを超えてから急坂で清宮さんが遅れるが、佐藤さんがギリギリ首の皮一枚で生き残っている。この究極状態でも羽地は4分40秒322w。昨年は青木さんと河合さんと三人で250wだったので今年のコンディションの違いを物語る。
ピークを越えて3段坂こなしダムからの下りへ。ここまで来てちぎれるわけにはいかない。
最終的な生き残りは高岡さん、井上さん、森本さん、佐藤さん、松島さんと私の6名。
下りに入りコーナーリングのたびに、外側の足を踏ん張ると四頭筋が攣る。ここはシクロクロス的な曲がり方を駆使して少し違う筋肉を使って曲がるが、最後の58号線に入る鋭角コーナーで足にぴきぴきと電気が走ったような感覚になり止まりそうになる。
続いて最後のイオン坂。ここで誰かが思いっきり本気で仕掛けたら私のこの足の状態では千切れていたと思う。しかし皆同じような状態なのか誰も決定的に動けず。

photo:Makoto.AYANO
イオン坂を下るとあとは平坦。優勝はこの6名の中から出る。それぞれの様子を伺う。高岡さんはあれだけアタックしても足が攣っている様子もなくまだ一番足が残っていそうか。井上さんはポーカーフェイスなので疲労度がわからんが走りを見ている限り極限という感じはしない。森本さんのスプリント力はわからんがピュアクライマーなので大丈夫かな。佐藤さんはローテを2度ほど飛ばしたり、ローテ回るのもかなり苦しそうだが、一番スプリント力はある。松島さんはデータないのでまったくわからん。ピュアスプリンターがいないなか、クリテリウムみたいなレースなら絶対勝てる自身があるが、200キロ走ってきてボロボロ状態のダンシングが使えないこの痙攣しまくっている足の状態で勝算はあるのかという自問自答をしながらラスト1kmへ。
井上さんが先頭で入り、その番手に高岡さん。高岡さんはそこから冷静に前に出ずに井上さんに牽かせる。先頭に出てしまった井上さんの脚質からは唯一の選択である早がけへ。井上さんまだ行っちゃダメだと一瞬思ったが、高岡さんがそれにぴったり合わせ加速。その番手から私が行く。が、、、加速の瞬間に強烈な痛みが走り完全に左足が逝ってしまっており腰があげられない。シッティングのみで出しうる限りもがいたが、高岡さんには届かず。
やはりチャンピオンは強かった。あれだけの攻撃を繰り返しながら、最後にスプリントする足を残していた時点で完敗。
私はなんとか千切れず6名の少人数のスプリントまで持ち込んだまでは理想だったか、高岡さんと井上さんの終盤の攻撃に確実に足を削られスプリントする足を残せなかった。
これもまた実力と経験の差と言わざるを得ない。
井上さんとは何度も練習を一緒に共にしてきた同士なので一緒に表彰台に上がりたかったが、昨年とほぼ逆の展開で2位を痛み分けすることになろうとは。

しかし、3か月間の集中トレーニングでここまで仕上げたことは、また来年につながるだろう。
5時間25分の濃密な戦いは、たくさんのドラマがあり今年も最高に楽しかった。
年々レベルが上がるツールド沖縄。まさしく最強決定戦。是非また来年もチャレンジしたい。

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